環境汚染や地域紛争など、地球上の問題の根底には、人間の「競争心」があります。地球と共存するよりも、他者との競争に勝つことを重視するあまり、さまざまな弊害が生まれています。
人を競争へとかりたてるのは「成功」への渇望です。成功を追い求めると、どうしても競争状態になります。自分が負けると取り分が少なくなるので、より多くを手に入れるためにトラブルが絶えません。
私は「成功」に集中する心を「完成」に移すことができれば、地球は大きく変わると考えています。完成は、成功よりも遥かに大きく高い価値です。成功を追い求めると、自然も、一人ひとりの心身も、人間同士の調和やバランスも、すべて崩れてしまいます。完成という価値を導入すれば、すべての問題が簡単に解決します。
成功を追い求める人生では、世間が望む基準通りの肩書やスキルを備えることが優先されますが、完成を求める人生では自分が追求する哲学と価値が基準になります。成功の追求は利己心や競争心を煽り立てますが、完成のための取り組みは共存と和合をもたらします。
人が成功ばかり追い求めるのは、幼虫が桑の葉をずっと食べ続けて蝶になれずにお腹が破裂して死ぬのと同じです。蝶になるためには、幼虫の頃から蝶になれると確信して桑の葉を食べ、ある時、桑の葉を食べるのを止めて繭を作り、蝶になるという過程を経なければなりません。
人間も「もっと、もっと」と言いながら息を吸い込むばかりだと、結局は皆が破滅します。これからは吸い込んだ息をしばし止めて、ゆっくり吐き出す練習をしていきましょう。