「成功」でなく「完成」を求める世界へ

環境汚染や地域紛争など、地球上の問題の根底には、人間の「競争心」があります。地球と共存するよりも、他者との競争に勝つことを重視するあまり、さまざまな弊害が生まれています。

人を競争へとかりたてるのは「成功」への渇望です。成功を追い求めると、どうしても競争状態になります。自分が負けると取り分が少なくなるので、より多くを手に入れるためにトラブルが絶えません。

私は「成功」に集中する心を「完成」に移すことができれば、地球は大きく変わると考えています。完成は、成功よりも遥かに大きく高い価値です。成功を追い求めると、自然も、一人ひとりの心身も、人間同士の調和やバランスも、すべて崩れてしまいます。完成という価値を導入すれば、すべての問題が簡単に解決します。

成功を追い求める人生では、世間が望む基準通りの肩書やスキルを備えることが優先されますが、完成を求める人生では自分が追求する哲学と価値が基準になります。成功の追求は利己心や競争心を煽り立てますが、完成のための取り組みは共存と和合をもたらします。

人が成功ばかり追い求めるのは、幼虫が桑の葉をずっと食べ続けて蝶になれずにお腹が破裂して死ぬのと同じです。蝶になるためには、幼虫の頃から蝶になれると確信して桑の葉を食べ、ある時、桑の葉を食べるのを止めて繭を作り、蝶になるという過程を経なければなりません。

人間も「もっと、もっと」と言いながら息を吸い込むばかりだと、結局は皆が破滅します。これからは吸い込んだ息をしばし止めて、ゆっくり吐き出す練習をしていきましょう。

地球の未来のために

地球の未来を考えたとき、おそらく多くの方がまっさきに環境問題を思い浮べるでしょう。私たちが暮らしている家が汚染されれば、その中で生きていく人も健康ではいられなくなるのは、当然のことです

いまや環境問題は、私たちの生存と直結する切実な問題です。無分別に消費してまだ使えるものをゴミとして捨て、一方ではそれを処理するのに頭を悩ませる、というパターンに陥っており、これが地球の未来を脅かしています。物質面での発達スピードに人間の精神が追いついておらず、地球だけでなく、人間自体も行き詰まった状態になっています。

人間は地球から最も多くの恵みを受け取っている存在です。にもかかわらず、これまで人間には地球にとって何の力にもなれませんでした。私たちはこれに対する責任を逃れることはできません。地球の汚染源とも言える人間が変わらなければならないのです。

人生の目的が変わらないといけません。目的に従ってすべての行動が起こります。現在の教育は一生懸命勉強して、いい大学に行って、いい職を得て、お金をたくさん稼いで、人よりも多くのものを所有し、たくさん消費するのが幸せだという情報を注入されています。現代社会における成功のシンボルを3つ挙げるなら、金、名誉、権力ではありませんか?

資本主義が作った、このような成功中心の価値観では環境問題も解決できません。金、名誉、権力も必要ですが、それよりもまず人格、利己的ではなく公的、全体のための精神が必要です。それが弘益精神です。多くの人が弘益精神を掲げてより高い次元の価値、すなわち「人格完成」のための人生を生きていくとき、根本的な変化が起こると思います。

生きながら天を体験するところが脳

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、脳と精神についてよく質問を受けるそうです。たとえば、「脳は物質で、脳で起こる現象は精神作用です。死ぬと脳は腐って無くなりますが、精神はどうなるのですか?」といった質問です。

精神は様々な名前で呼ばれます。「考え」「感情」「心」「意識」「魂」…。李承憲氏は、これらが肉体の死後に天に行くとしたら、その天というものは物質なのかを考えてみる必要があると言います。

脳からすれば、宇宙万物はすべて電気信号に過ぎません。すべての情報が電気信号として脳に入り、その情報に脳が反応し、また別の情報を作りだします。そして、情報は波長になると際限なく拡散します。このため、精神というのは、波長で存在します。李承憲氏は「物質である脳がなくなっても、精神の波長は拡散を繰り返す。永遠不滅だ」と言います。

私たちが関心を持つべきなのは、永生や天国への探求ではなく、物質を好循環させることです。そして、良い情報を流通させることです。死後にどこに行くのかという問題ではなく、生きて踏みしめている地球の環境と人類の精神の健康が問題なのです。これに関心を持ち、これを保護、回復、向上させることが、幸せな永生のために必要な努力です。

李承憲氏は「死ねば精神がどうなるのかという問題は、生きて精神を正しく使えば、その延長線上で解決できます。生きながら天を体験するところが脳です。脳が天の活動舞台なわけです」(著書『脳がわかると人生が見える』)と話しています。

「人間愛・地球愛」こそが、ビジョンの基盤

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育では、「ビジョン」の大切さが強調されています。ビジョンとは「私たちの意識を覚醒させる灯」です。「ビジョンを設け、そのビジョンを実践することによって私たちの内部に気づきの光、生命の光が輝きだします」(李承憲氏の著書『セドナの夢』)

李承憲氏によると、ビジョンの中でも最高のものが、「人間愛・地球愛」です。それは悟った人が持ちうる唯一のビジョンです。どんな職業に就き、どんな立場から、どんな言葉で自分のビジョンを表現しようとも、「人間愛・地球愛」こそが、すべてに勝るのです。

人間愛・地球愛をビジョンとして掲げることは、困難をともなうこともあります。だから、人は気づきを避けようとします。怠惰や利己心で自分の気づきに蓋をしようとするのです。もともと悟りは自分の中にありますが、それを用いるか、そうでないかの違いでしかありません。

ビジョンを放棄すると、悲しみ、寂しさ、恐れ、怒り、憂欝さなどの感情が私たちの魂を侵すようになります。感情は、覚醒した人にも覚醒できていない人にも、同じように現れます。

重要なのは、感情をコントロールできるか、できないかです。車を運転する際、障害物は必ずありますが、その障害物をうまく避けて運転すれば、何の問題もありません。障害物がないことを願うのは間違っています。

悟りを得た瞬間、高速道路のように気持ちのいい道が続いて自分の前を走る車が1台もないことを望みますか? それは幻想にすぎません。感情を上手にコントロールできれば、感情に振り回されない創造的な日々を送ることができます。進んで自分の中に気づきのあることを認め、その気づきを使うことが大事なのです。

李承憲氏が振り返る「地球とのはじめての出会い」

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、ほんとうの幸福を得るためには「つながり」が大切だと強調します。「あなたの魂と私の魂、人類の魂と地球の魂は一つにつながっている」とし、「そのつながりを自覚する瞬間、私たちの魂は完全となり、驚くほど拡張する」と言います。

李承憲氏の言う「つながり」とは、人と人とのつながりだけでなく、地球とのつながりも含むことが大事なポイントです。地球とつながることができれば、私たちは地球からのメッセージを受け取ることができ、自分自身のエネルギーの飛躍へとつながります。著書『セドナの夢』で、李承憲氏は自分自身が初めて地球とつながったときのことを以下のように回顧しています。

大きな感動の中で地球に出会ったときのことを私は覚えています。私は切に望み、出会いを果たしました。そして地球との出会いを通じて私の人生は変わりました。地球の魂に出会う前の私の魂は寂しさと不安、恐れの中にいました。自分自身のことも尊重してはいませんでした。尊重するとはどういうことかさえも、ろくにわかりませんでした。

どうして花が美しいのか、生命が美しいのかと尋ねていました。しかし、地球の魂に出会ったことで自分自身を取り戻し、自分の根源を知りました。そのとき私の魂は「どの花も美しい!」と叫んでいました。

地球を感じたとき、そして、地球と対話することができたとき、私たちの意識は大きく変わります。自分のつまらない「利己」を捨て、奥底に眠っていた「ほんとうの願い」に出会うことができるはずです。

「母なる地球」の存在が人類の調和を生む~李承憲氏

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、地球の魂は、人間の魂と結びついています。私たちが地球の心を感じ、地球と相通じることができたとき、母なる地球の心で、すべてを受け入れて愛し、調和をなすことができるといいます。

東洋と西洋を問わず、地球のことを「母なる地球」「母なる大地」などと呼ぶ言語は多いです。李承憲氏によると、母なる地球の存在は、いわゆる「神」という概念とは大きく異なります。神は目に見えませんが、母なる地球は目に見える身体を有しているからです。地球は、私たちがだれでも目で見て、聴いて、触ることができます。だから、人間が行っていることを喜んでいるか嫌っているかは、地球の状態を見れば、すぐにわかります。

一方、神という概念は、私たちが肉体で触れることができない存在です。人類は昔から、応答しない神に向かって絶えず祈り、自分の信じる神が、自分たちの属する国や民族、そして家族を守ってくれるものと信じて、争いごとを繰り返してきました。いわば、神の名の下、自分の望みどおりに振る舞ってきたのです。

地球は、あらゆる人類の母のような存在です。母のような大いなる愛で全人類を温かく包み込める存在、すべての国家と民族と宗教を抱擁できる存在こそがまさに「母なる地球」なのです。母なる地球はいま、人間の無分別さのせいで苦しんでいます。母なる地球の苦しみは、単に、地球の身体である自然環境破壊のせいばかりではありません。母なる地球の魂は人間の魂とつながっているため、人間が互いに葛藤し、対立すればするほど、母なる地球の苦しみは大きくなるばかりなのです。

「すべての秘密が脳にある」~李承憲氏の脳教育

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、30年前に大きなことを学んだといいます。それまでは、大きなビジョンも大きな夢もなく、同じことを繰り返すだけの日々を過ごしていたのが、「脳」の使い方を知ることで、人生が大きく変わったのです。

このころ、李承憲氏は「私がなぜ生まれたのか」「私がこの世に来た目的が何なのか」という大きな疑問を持ち、考えぬいたあげく、問題は「私」にあることが分かったといいます。「私が一体誰なのかという切な疑問から始まり、私自身を分かるようになった」(李承憲氏)のです。

それ以来、李承憲氏は自らのビジョンの実現に向かって脳を100%集中させました。日々トレーニングを重ね、さらに、その成果を他の人に分かち合うようになります。ある早朝の日、公園で出会った人にブレイン体操を伝えたことがきっかけとなり、その輪がみるみるうちに広がっていきました。これがやがて「脳教育」として世界中へと普及していったのです。

こうした自らの経験から、李承憲氏は「人は志を立て、信念を持てば、ビジョンが生じ、その時、脳は強く反応して動き出す」と言います。「私」の人生のすべてをかけても惜しくない何かが生じるとき、未来は変わってくる。「すべての秘密が脳にある」のです。

李承憲氏によれば、世界平和のカギも脳にあります。国と民族、思想と哲学、宗教もすべて脳に中にあり、世界が平和にならない理由は、人間の脳の中に入っている情報が互いに異なるからです。今日の人類文明を作ったのが脳の創造性であるように、当面の人類の問題を解決する方法も「脳」にあります。

一指 李承憲著『BOS 脳の中の偉大な革命』より

地球の治癒者としての自覚~李承憲氏

「地球愛」の大切さを説く脳科学者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人間こそが地球の治癒者になり得る存在だとし、その自覚を持つことが、人生をより豊かなものにすると指摘します。

李承憲氏によると、地球を愛することは、地球を一つの共同体として認識し、その共同体への責任を果たそうとすることだといいます。地球愛は、家族愛や郷土愛と同じように、その一員としての役割をこなし、そのことに生きがいを感じることで育まれます。

いま地球は、環境破壊や紛争といった問題を抱えています。李承憲氏は、これらの問題を解決できるのは人間だけだと言います。それらは、そもそも人間がつくった問題だからです。

「地球を救える存在」としての自覚を持つことが、地球人としての第一歩となります。つまり、「地球の平和を成し遂げられる地球上の唯一の主体は人間しかおらず、自分はすなわちその主人公だ」(李承憲氏)という認識を持ち、地球の治癒者として行動を起こす。それが、真の地球人なのです。

地球の大きさに比べて、個々の人間は無に近い存在かもしれません。しかし、「その人間の心に母なる地球の心が入りこめば、人間は一粒の碧い地球を愛と憐欄の情を持って眺め、無限なる責任感を覚える大きな存在へと変貌する」(李承憲著『セドナの夢』)ようになります。

李承憲氏によると、自らの価値基準を「地球」に合わせると、ふだんの行動や判断を正しく行うことができます。そして、これまで自分のアイデンティティを形成してきた民族、宗教、思想、文化の限界を乗り越え、普遍的な価値を持つことができます。

地球のエネルギーを感じ、心を通わせよう~李承憲氏の地球生命論

地球といえば、地球儀や衛星写真でよく目にする球体を思い浮かべますが、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、地球を物体としてとらえるだけでなく、スピリチュアルな面でとらえることが大事だと言います。

私たちは、道端に咲く野の花に「こんにちは」とあいさつしたり、自分で育てた花や木に話しかけたりして、花や木と心を通わせようとします。そのとき、私たちは花を単なる物質として見るのでなく、一つの生命として受け止めています。

李承憲氏は、これと同じように、地球全体を一つの生命体として考え、接するべきだと言います。われわれ人間が肉体と魂を有しているように、地球も肉体と魂、そして、エネルギーを有しています。この魂とエネルギーの存在を感じることが、地球との交流の第一歩となります。

李承憲氏によると、地球は常にとてつもないエネルギーを噴きだしていて、そのエネルギーは地上の大気をいっぱいに満たしています。このエネルギーこそ、あらゆる存在の根源となる「天地気運」です。植物と動物をはじめとして、岩や水、火などに至るまで、地球上のあらゆる存在は、地球と連なる純粋なエネルギーで構成されています。人間も、地球のエネルギーを通じて生命を維持しています。

私たちの意識が地球の魂と結びつき、心が通じ合ったとき、すべてを受け入れて愛することができるようになります。そして、宇宙の万物と調和をなすことができるようになるのです。

李承憲氏の脳教育で、地球とのつながりを感じる

私たちの住む地球は、人間の物質文明によって環境破壊が進み、病み苦しんでいます。脳教育者の一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は「これからは、人間が地球を助ける番だ」と提唱しています。今まで私たちの生命を育んでくれた地球に感謝し、恩返しをすることは、脳教育のテーマでもあります。

李承憲氏の脳教育が唱える「地球との交流」は、地球の本来の姿を取り戻すための実践の一つです。地球との交流は、地球を感覚的にとらえ、通じることから始まります。地球を生命体として感じ、その生命体に宿っているエネルギーや魂を感じられるようにすることです。この心の交流を通じて、私たちの人類の意識も物質文明のものから抜け出し、進化を遂げることができます。

李承憲氏は著書『脳波振動』で「私は地球の苦しみを感じることができます。あなたも地球を感じているはずです」と語っています。私たちが地球を感じることができる理由は、身体の波動が地球の波動と共鳴しているからです。「あなたと地球はひとつであり、あなたと宇宙もひとつ」(李承憲氏)なのです。

地球の魂を感じるための脳教育のトレーニングの一つが、瞑想です。瞑想によって脳を目覚めさせれば「私たちの脳は地球とつながっている」という感覚が生まれます。こうした感覚が人類の間で共有されれば、地球は本来の美しさを取り戻すはずです。

地球は、異なる環境や宗教、文化の中で、多様な価値観を持って生きているすべての人々を、ひとつにできる唯一の存在です。地球だけが、宗教や民族、国家、文化、価値観の違いを乗り越え、人類の意識をひとつに束ねることができます。地球を助けることができれば、人間の魂も完成に向かうのです。