速度を落として、方向を見直そう

現在の文明が幕開けて以来、人類は物質文明の発展の道を進んできました。最初は歩いていましたが、間もなく走り出しました。走者は時代に応じて変わりましたが、走る方向は変わらないまま、走り続けています。

産業と技術、文明の発展のスピードはどんどん速まり、私たちは当然のごとく列車に乗ったままです。しかしそれは、正しい方向に向かっていると確信しているからではなく、ほかに行くべき道がないように見えるからです。

だれもが不安を感じ始めています。「自分たちが乗っている列車に運転手がいないなんてことはあるだろうか」と。列車の窓から見える景色はますます荒涼としてきており、列車の速度は速くなるばかり。このままでは山に衝突するか、崖から転落するのではないかという恐れが広がっています。

列車はすぐに止まることはできません。手遅れにならないうちに、私たちはスピードを落とし、自分たちの現在の居場所と目的地を確認しなくてはなりません。

かつて老子は「方向を変えなければ、今向かっている場所で終わってしまうかもしれない」と言いました。その言葉に私は賛同します。私たちは、自分たちの優先事項を再評価し、新たな目標を掲げ、計画を立て、行動しなくてはならないのです。

生命電子の循環が、私たちに進化をもたらす

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、存在するすべてのものの中に「生命電子」があるといいます。

生命電子の活性度が高い個体は、振動数が多くなり、運動性や創造性が高くなります。一方、生命電子の活性度がとても低いと、私たちから見て生きていない状態となり、無生物に位置づけられます。同じ個体の中でも、生命電子の活性の度合いによって、振動数や運動性、明るさに違いが出るのです。李承憲氏は、これを「意識の明るさ」と呼びます。

生命電子が活性化され、意識がある程度の明るさになった時、ようやく自分が見えはじめます。自分が見えるので恥を知るようになり、周りを意識するようになり、人を配慮するようになり、礼儀をわきまえるようになります。そして、自分が見えるので自分が誰なのか、なぜここに来ているのかを問い始めます。

生命電子の活性度がさらに高まり、臨界点に達すると、抜本的な変化が起きます。これは幼虫が蝶になるのと同じです。これが「進化」の真の意味です。

では、どうすれば、生命電子を活性化できるのでしょうか?
李承憲氏によると、生命電子の活性化と進化は、「魂」の誕生から始まります。魂とは、核を中心として生命電子が一つに集まったものです。

魂の核となるのは、一点に集中した考えです。たとえば「自己実現」「健康」「幸福」「平和」などに対する強い欲求です。これらの願いが種となって生命電子が一つのかたまりになり、魂が作られます。そして、願いが実現するまで、生命電子は旅を続けます。願いが叶えば、生命電子は散って元の姿に戻ります。この一連の循環が盛んに繰り返されるとき、生命電子は最も活性化した状態になるのです。

幸せに「条件」はない

幸せのためには、多くの条件を満たさなければならないと人は考えます。「有名大学に行く」「いい会社に就職する」「理想の人と結婚する」…。しかし、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、こうした幸せの前提条件は「観念の中での幸せに過ぎない」と言います。こうした条件が満たされたとしても、幸福が得られるとは限りません。いつまでたっても「私はまだ足りない、何かが欠けている」と思うかもしれません。

李承憲氏によると、多くの人は過去に生き、未来に生き、観念の中に生きています。誰かと話している瞬間さえも、相手を見ずに自分の観念の中に陥っています。その人には現在はなく、幻想だけがあります。未来の甘い夢に酔い、過去の思い出に浸っています。未来と過去に逃げることで、現在を失ってしまいます。「今は幸せではないけど、条件がすべて揃えば、いつかは私も幸せになれるだろう」と思っているのです。

しかし、「今、幸せでない人は、未来も幸せにはなれない」と李承憲氏は言います。未来もまた、その瞬間には現在だからです。現在の大切さを分からない人は、真の幸せを分かりません。刹那、刹那・・・。ひたすら、今この瞬間だけが現実です。過去や未来は幻想に過ぎません。「現在を失ってしまった人生は、死んだも同然の人生」(李承憲氏)なのです。

人生とは、今この瞬間だけに存在するものです。今の幸せが大事です。脳教育で幸せの絶対的な基準を体得することができれば、条件を問わない真の幸せへと近づけるはずです。

家族同士のヒーリングが、無限の愛を育む

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、ヒーリングは人間にとって最も献身的な行為の一つだと言います。ヒーリングとは、体だけでなく、魂を癒すことであり、愛情や信頼を表現し、交流させる手段の一つです。

李承憲氏は、大学で臨床病理学や韓医学を学んだ後、長年にわたりさまざまなヒーリング法の開発に取り組んできました。その李承憲氏のヒーラーとしての原体験ともいえるのが、自身の家族に対するヒーリングです。

李承憲氏は、自分の家族が病気になったときは、自ら施術を行ってきたといいます。子供の体調が悪くなったときも、針や灸、指圧などでヒーリングし、呼吸法や体操を指導することで、回復へと導きました。

そのとき、李承憲氏が感じたのは、ヒーリングがもたらす強い絆です。ヒーリングを通じて、家族の結びつきが強くなり、家族同士の愛情と信頼がさらに深まっていったといいます。「強い結束があれば、どんな苦難も家族を崩壊させることができない」と李承憲氏は言います。

著書『脳がわかると人生は変わる』の中で、李承憲氏はこう語っています。「ヒーリングは最も親密な家庭を作ります。健康に対して親密で心のこもった対話を交わしながら愛で指圧をしてあげると、いつの間にか信頼を元にした意思疎通と、体を通じた親密な経験を積むことができるでしょう」。

お互いヒーリングしあえる家庭で育った子供たちは、家族だけでなく社会を愛し、そして、地球を愛せる大人になれるはずです。

ビジョンが“弘益”に向かうとき~李承憲氏

「自分とは何か」という疑問は、多くの人が一度は抱えたことがあるでしょう。一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、人は自分のことを「体とその上に覆い被された情報」だと思いがちです。しかし、情報はあくまで情報にしかすぎません。自分とは「自分の魂であり、終わりも始まりもない、永遠の生命である」と李承憲氏は言います。その自覚ができたとき、私たちの意識レベルは飛躍的に高くなり、真の幸せを手に入れることができます。

李承憲氏は、私たちには「弘益」(ホンイク)の本能があるといいます。弘益とは、世の中を良くしようとする意識です。弘益人間として世の中に尽くすことが、「意識レベル」が高くなっている状態といえます。とはいえ、同じ人でも意識レベルは一定ではありません。一日のうちで何回も意識レベルは変わります。「すべての人の内面にはイエスや釈迦のような境地の可能性と、人からそっぽを向かれる利己主義者や、それより暗い意識状態の可能性が同時に存在する」(李承憲氏)のです。

意識レベルを安定的に高くするためには、何のために生きるのかというビジョンを持つ必要があります。ビジョンとは「私たちが発揮できる最大のエネルギーと、最高の努力と、最善の知恵を絞り出さなければ達成できず、自分の思う限界を超えたところにあるもの」(李承憲氏)です。そのビジョンが利己的なものでなく、地球的で「弘益」なものに向かうとき、私たちの意識のレベルは最高潮に達するのです。

一指 李承憲著『脳呼吸』より

自分の夢が導く、自分だけのオリジナル人生

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人生とは「あなたが選んだその夢を最後まで推し進めることだ」と言います。夢のために自分自身を果敢に投げだす。それが、真に価値ある人生です。

李承憲氏によると、人生とは決まりきった枠組みの中で生き延びることではありません。自らの本性の声に従い、オリジナルなものにすることが、人生の価値です。そのために必須なのが夢です。夢があることで、人生も創造的になります。

だから、まずは夢を見つけることが大事です。自分の情熱を注ぎこめるような夢です。李承憲氏は、自分の「本性」の声に耳を傾けることで、ほんとうの夢に出会うことができると言います。そして、「崇高で偉大な思い」を抱き続け、それを信じることが夢の実現につながります。

そもそも人間は、時間と空間の中にほんの少しのあいだ現れては消えゆく存在です。「一人の人間が生きて死ぬこととハエの一匹が生きて死ぬことは、宇宙的な観点から眺めれば、まったく重みの違わぬ事件」(李承憲著『セドナ・メッセージ』)なのです。

だからといって、人間が虚しい存在というわけでは決してありません。「私たちはある日、この人生を、だれとも知らぬ存在から贈られている。その贈り物を受け取る際、私たちはそれをすべて自分だけのオリジナルでつくれる、限りない選択の自由も一緒に贈られた」からです。

私たちは人生の意味を自分でつくることができます。夢に向かって生き、自ら選択したとおりに生きていけるのです。

ライフ・パーティクルで宇宙と対話する~李承憲氏

世界的な脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、私たちが真の幸福と平和を得るカギとなるのが、ライフ・パーティクルだと言います。

人間はふだん、言葉を使って気持ちを伝えあいます。しかし、言葉を使わなくても、意思疎通を図ることもできます。お母さんが赤ん坊の目を見ただけで何が欲しいか分かるのは、その一例です。言葉を交わさなくても、お互いの考えが分かることを「以心伝心」といいます。

李承憲氏によると、私たちは、言葉や文字に頼らずに、宇宙のあらゆる生命や物質とコミュニケーションをすることができます。それを実現するのが、ライフ・パーティクルです。

ライフ・パーティクルとは、万物の根源のエネルギー。物質と生命を構成する最小単位であり、宇宙とあらゆる生命は、このライフ・パーティクルの力によって生み出されています。ライフ・パーティクルは宇宙を飛び交い、情報とエネルギーを伝えています。

ライフ・パーティクルを使うことで、私たちは宇宙の無限な力を引き出すことができます。李承憲氏は「ライフ・パーティクルの存在を知り、ライフ・パーティクルと出会った瞬間、人生に大きな変化が生まれる」と強調します。それはまるで、停電によって切れた電線が再びつながり、世の中がパッと明るくなるときのようだといいます。

ライフ・パーティクルのエネルギーを感じるような意識のレベルに達したとき、私たちは人間だけでなく全ての自然物、鉱物、地球、宇宙とエネルギーをやりとりし、深く交流することができます。そのときこそ、真の健康で幸せ、そして平和を手に入れることができるのです。

「気づき」によって「脳の主人」になる

~一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『脳がわかると幸せが見える』から要約~

「気づき」によって「脳の主人」になる

人は、気づきを得ることで、自分自身の脳の主人になることができます。

体は脳の延長です。脳から全身に広がる神経網を通じて、体は脳の命令を受けています。心もまた、脳の中で起きる作用です。脳がなければ心もありません。ですから、「脳がすなわち私」といえます。

脳の状態を常に見守り、コントロールする「意識」というものがあります。意識は脳の運転手のようなものです。車を走らせるのに運転手が必要なように、脳を上手に活用するためには、この「意識」が必要です。

意識が目覚めることを「気づき」といいます。気づきを得ると、暗い部屋に電気をつけた時のように目の前がパッと明るくなって、自分自身や自分を取り巻く状況を鮮明に見ることができます。

気づきを得た脳とは、「主人がいる脳」です。主人がいる脳は、感情や外からの情報を能動的に処理することができます。脳が生存本能や習慣に基づいて情報を処理しようとするとき、主人がストップをかけ、別の選択をします。

気づきを得た脳は、利害関係や損得勘定にこだわらない判断ができます。慈悲深い心を持ち、健康で幸せで、世の中を平和にしようとする意志に満たされます。たとえば、沈没寸前の船で、自分のかわりに見知らぬ人を救命ボードに乗せるような行為は、「脳の主(あるじ)」になっているからこそできる判断です。

一方、気づきを得ていない脳は、「主人のない脳」です。主人のいない脳は、感情に振り回され、目先の情報に引きずられやすいです。脳は「良い脳」と「悪い脳」に分かれません。「主人がいる脳」と「主人がいない脳」に区分されるのです。

脳波振動で、脳を肯定的な方向に変えていきましょう

「脳の主でありつづけるというのは、自分に無限の可能性を持っている脳があるということを常に意識し、どんな状況でも自分を励ましつづけ、勇気を出すということです。気持ちだけで難しいときは、脳波振動で否定的な情報を遮断し、絶えず肯定的な情報を入力してみてください」

李承憲氏が、脳を信じることの大切さと、そのために脳波振動のような方法を使って
脳を常に適切な状態に導くことを説いています。

脳は記憶されている情報に基づいて判断を下します。
否定的な想念が脳の中で増えてしまうと、健全な判断を下せなくなります。
健康な人生もだんだん送れなくなっていきます。

そこで李承憲氏は、脳波振動をはじめとした
的確な脳教育を取り入れるよう推奨しています。
それによって脳のパワーを限りなく発揮させることができます。

脳が正しく機能すれば、希望が膨らんでいくのです。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著  『脳波振動』 ビジネス社、2009年発行、60ページより引用

脳波振動で、新しい脳回路を作ることができます

現代に住む私たちは、生まれてからさまざまな誘惑に出会います。
お酒やタバコをやめられなくなったり、買い物やギャンブルへの依存症になったり、
いろいろな悪習を身につける人も多いのですが、
自分の意識をコントロールすることができれば、それも断ち切れるようになるでしょう。

自分の意識を変える方法は、自分の頭の中にあります。
決して特別な薬を買ったり高い治療法を受けたりすることではありません。
脳波振動を続けると、身体だけではなく意識まで改善することにつながります。
脳波振動は、脳の構造が三層(思考・感情・無意識)に分かれていることに対応した、
脳全体を変える運動法です。

李承憲氏が、具体的に教えてくれています。

「脳波振動は、『そろそろタバコを吸う時間だよ』という情報を断ち切ることにより、意識をニュートラルな状態にしてくれます。そして、あなたが望む新しい脳回路を作るのです」

李承憲氏もすすめてくれているように、脳波振動を通じて
意識をニュートラルに変えましょう。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著  『脳波振動』 講談社、2009年発行、120ページより引用