李承憲氏にとって人生初の「創造体験」とは

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人間の持つ欲求の中で最も大事なのが、「創造したい」という意欲だと言います。食欲、性欲、物欲が満たされても、創造性が死んでいる人は内面の満足を感じられません。虚しさに陥ります。

創造性が大事である理由は、創造性が人間の精神の最も大きな部分だからです。李承憲氏によると、創造性はだれにも生まれつき備わっており、創造性のない脳はひとつもありません。

李承憲氏の人生の最初の創造は、大学入試に失敗を繰り返して二浪している時に起こったといいます。つらい勉強の代わりにテコンドーや合気道に熱中していた頃、ある日、運動して帰る道すがら、村の一角に以前から積み上げてあった大きなゴミの山を見て、自分が片付けなければならないと思い立ったそうです。

それから1か月、李承憲氏は毎日ゴミを片付け、さらに、ゴミを肥やしにして山の上にかぼちゃを植えました。やがてかぼちゃの蔓は山の峠をすべて覆い尽くすようになったといいます。この体験をきっかけに、自信を回復し、勉強の意欲も取り戻し、翌年、大学に合格しました。ゴミを片付けてかぼちゃを作ることは、まさに「創造」だったのです。

創造性を発揮できずにいる人は多いです。しかし、李承憲氏によると、それは創造性がないのでなく、眠っているか、抑圧されているだけです。それを呼び覚ませばいいのです。

創造性を発揮するカギは、「意志」です。意志を出す瞬間、エンジンがかかります。創造のエンジンが止まらないように意志を折らないことが大切です。

「願うもの」を見つけたとき、人生が変わる

信念や意志の強さは、人によって異なります。信念や意志がどれだけ強いのかによって、人生は大きく変わると、脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は言います。李承憲氏によると、信念や意志の差を生むのは、「願うもの」があるのか、ないのかの差です。

脳教育では、脳に「願うもの」という情報を入れると、脳が願いを実現させるために信念、意志、情熱のシステムを目覚めさせると考えられています。とはいえ、「願うもの」は、何でもいいというわけではありません。もし、宝くじを買って当選を願うというメッセージを脳に与えたなら、脳はもどかしいけれど傍観しているしかありません。宝くじの当選のために脳ができることがないからです。これに対して、健康を願うというメッセージを入れると、脳は健康的な食生活や適度な運動を習慣にするべく、意志や信念を目覚めさせます。

自分が本当に願うものが何なのか、何を願うべきなのかわからない、という人もいるでしょう。しかし、李承憲氏は「自分の願いが何なのか分からない人もそれを見出そうという考えがあれば、いつかは見つけられる」と述べています。願うものが自分の内面にすでにあるはずです。それがどんな体験であっても教育や出会いなどを通して現れるようになるのです。

願うものを見つけた時、人は人生の意味を見出したと感じます。そして、人生に変化が起こり始めます。夢をかなえるために信念、意志、情熱を発揮する人生が始まるのです。これこそ、人生の「発見」です。

人生の目標への集中こそが、真の脳活性をもたらす

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、私たちの脳は集中することでパワーアップし、脳全体の統合がもたらされます。

最近、注意力や集中力がない子供たちが増え、ADHD(注意欠如・多動性障害)という障害に診断される子も多いです。乳児期からテレビやビデオのようなメディアに無防備に長時間露出していることなどが原因だと指摘されています。

李承憲氏は、「集中」は脳の活動の中で最も重要な基盤だと言います。集中によって脳機能が発達し、集中するほどに脳機能は強化されます。運動することで体に筋肉ができるように、集中によって脳に回路が形成されるのです。

集中とは、脳全体の機能が一つの情報処理に集約された状態です。集中というと、身じろぎもせず机に向かっていることだと考えますが、このような狭い視野の集中は、小さな集中です。このような「緊張した集中」は長く続きません。

李承憲氏によると、ほんとうの集中とは、テーマのある集中です。一つのテーマをめぐって脳全体が目覚め、視野が広く開けた「リラックスした集中」こそが、理想的だといいます。

といっても、テーマは何でもいいわけではありません。たとえば、ギャンブルに過度に集中すると、財産を失い、家庭崩壊へとつながります。アルコールや薬物への執着も同様です。これらは集中ではなく、対象の奴隷になっている状態です。

集中の対象として有益なのは、人生の目標です。人生の目標に集中したとき、脳は最も活発に働きます。自分の意志の力を最も強く、最も持続的に引き出すものが、人生の目標だからです。

情報の「選別」が人生の価値を決める

インターネットからおびただしい量の情報があふれる現代。仕事の速度と質が高まる一方で、情報過多による混乱やストレスも生じています。脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、こんな時代には、情報をどれだけ集めるかよりも、情報をどう管理するかのほうが、圧倒的に重要です。情報をどう選別し、自分の脳にどんな情報を与え、どう活用するか。それが、人生の価値を決めるといっても過言ではないといいます。

私たちの脳は、どんな内容であれ、入って来た情報にはとりあえず反応します。だから、無作為に情報が流れ込んでいるのか、それとも、自分が主体的に情報を選別しているのか、ということが脳に大きな影響を与えます。

自分の脳にアンテナを立てることで、おのずから「良い情報」が選別されます。脳のアンテナとしての役割を果たすのは、夢や目標、希望などです。また、情報を肯定的にとらえるか、否定的にとらえるかによっても、脳に入ってくる情報の質が大きく変わります。

たとえば、困難な状況に直面したとき「私はいつも運がない」と否定的に考える人は、その情報の奴隷になって、現状を打開するのが難しくなります。一方で、「これはいい経験になる」と前向きにとらえる人は、脳を上手に活用し、成長することができます。

脳にどんな情報を与えるのか、そして、その情報をどう処理するのか。この2つが情報管理の重要なポイントです。情報管理がうまくいけば、目標や夢は実現できるはずです。

脳に新しい習慣をつくる

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、私たち人間の行動の大半は「習慣」にもとづいて行われるといいます。

山を歩く人たちが何度も踏んだところが道になるように、私たちの脳では、ある考えや行動を繰り返すと、それを処理する脳回路が作られます。いったん脳回路という道がつくられると、その道に入ってくる情報は、自動的に同じように処理されるようになります。これが、習慣のメカニズムです。

いったん脳回路によって習慣がつくられると、その通りに行動するのは簡単ですが、変えるのはたいへん難しくなります。習慣を変えるためには、その脳回路を遮断するか、新たな脳回路を作るしかありません。このうち、より簡単なのは、新たな脳回路を作るほうです。

例えば、タバコをやめたいときに、「タバコは体に悪いからやめよう」と考えると、吸いたいという欲求と衝突することになります。これが禁断症状です。一方、新たな脳回路を作るのは、脳の抵抗を受けずに済みます。健康のために運動を始めて、いつの間にかタバコを吸わなくなっているというのが、このパターンです。

脳回路を新たに作るにも、着実に続ける意志が必要です。少なくとも3週間以上かかります。脳に新たなニューロンが作られるのに、その位の時間が必要だからです。さらに、これが安定するまでは、もう1~2か月かかります。

李承憲氏は「自分の意志で新たな習慣を作っていく人が成功する人だ」と言います。新たに挑戦しようとすれば、最初は脳が驚いて抵抗しますが、抵抗よりも強く意志を立てると脳は意志に順応します。新しい習慣を作ることの積み重ねが、真の幸福や成功へとつながります。

自分を褒めて、脳の潜在力を引き出す

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、自分を褒めることで、脳の潜在能力が引き出せると言います。

みなさんは「人間は脳の10%も使っていない」「天才科学者のアインシュタインも15%ほどしか脳を使っていなかった」といった話を聞いたことがあると思います。

私たちが脳の何%を使っているのかという問題は、19世紀のある心理学者が初めて提起しました。この心理学者は「普通の人は脳の10%を使い、天才は15~20%を使う」と主張しました。以後、10%を6%だと主張する見解が出て、1990年代には1%、最近は0.1%という研究報告もあります。そうかと思えば、「脳はすでに100%使っている。ただ、どう使っているのかわからないだけだ」と主張する科学者もいます。

学者によって差はありますが、脳には計り知れないほどの潜在能力があることについては、意見は一致しています。では、どうすれば、その潜在能力を引き出すことができるのでしょうか?

そのヒントは、脳を肯定的にすることにあると、李承憲氏は言います。李承憲氏によると、脳は肯定の状態をより自然に受け入れるので、否定的な習慣が強く根付いていたとしても努力すれば必ず肯定的に変化します。

「最高の肯定は褒めることです。自分自身を自ら褒めてあげてください」と李承憲氏。学校で、職場で、家で、「よくできた」と言われなかったとしてもへこたれずに、まず自分で自分を褒めるのです。へこたれると脳が萎縮しますが、褒められると脳が活性化します。

また、周りの人に褒め言葉をかけることも大事です。他の人を心から褒めると、その言葉を聞いた人よりも褒めた人の脳の状態が良くなります。

脳に肯定的な情報を持続的に与えると、脳はそれに必ず反応します。だから、脳を褒めて、説得することで、脳はより多くの機能を開発するようになるのです。

「幸・不幸」に縛られない人生こそが真の幸福

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は「幸・不幸を超えて、本当に自由な人生、それが真の幸福だ」と言います。

私たちの脳細胞は産まれた時から、誕生の最初の呼吸と共に減り始めます。老化と死は、まさに私たちが産まれた瞬間にすでに始まります。人間はある意味、自らの人生で最も悲しい出来事が始まった瞬間を「祝福のとき」ととらえているのです。

李承憲氏は「真の幸せは、より幸せな人生の条件を作ることではなく、幸せでなければならないという強迫観念から自由になること、幸せの条件自体から自由になることだ」と指摘します。

このような自由を得るためには、まず、人生は苦だと知ることが大事です。生まれることが苦であり、出会い、分かれ、すべてが苦です。快感と呼ばれる感覚さえも、体や神経の立場から見ると、平衡状態から外れた刺激、つまり心身を疲れさせるストレスです。

もし、生まれることが祝福で人生が幸せなら、霊的な成長も悟りも必要ありません。幸せだと感じるときは、その状況が続くのを願い、何か違うことやもっと良いことを追求しようとは思わないからです。私たちが人生の意味を問い始めるのは、幸せの条件が消えた時、または、その幸せの条件は長続きしないと分かった時です。自分が幸せでないと感じる瞬間から、「なぜ、私にこんなことが?」から始まり、「なぜ、生きるのか?」まで、深刻な問いかけが続きます。

いま幸せであったとしても、それは長くは続かず、また人生の意味を問い始めます。こんな過程が繰り返され、永遠の幸せへの期待と幻想が完全に崩れたとき、ようやく私たちの問いかけは真剣になり、深まります。

肉体に限定された人生が苦で虚無だということをまず知り、次に自分の体がすべてではないということ、自分の中に神性があるということを知ることで、その苦から自由を得ることができます。そして、最後にビジョンを通じて自らの神性を完全に花咲かせること、これが完全な悟りであり、完全な人生です。これが祝福なのです。

私の体は私ではなく私のもの

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人間の意識と肉体の関係について、「私の体は私ではなく、私のものだ」という考え方を提示しています。

誰でも自分に対してネガティブな感情を抱くことはあるでしょう。自分に腹が立ったり、自分の人生がみじめだと思ったり。李承憲氏は、そんなとき、「自分」とは何なのか眺めてみるべきだと言います。否定的な感情の対象となっている「自分」は、ほんとうの自分ではなく、自分の「名前」「年齢」「職業」といったラベルであるはずです。

李承憲氏によれば、名前、年齢、職業といった属性は、単なる「情報」に過ぎません。あなたが信じる宗教や神も、あなたを構成する情報の一部です。これらの情報が、あなたを生んだわけではありません。あなたを構成する情報はあなたが生まれてしばらく経ってから形成され始めました。

そして、自分の「体」も実は、あなたそのものではないと、李承憲氏は指摘します。あらゆる幸不幸の感じは、私たちが自分自身を自分の体と同一視することによって生じます。「体という形象とその上に被せられた情報の塊である自分の人格が悲しかったり、挫折したり、憤ったりする」(李承憲氏)のです。

李承憲氏によると、「私の体は私ではなく私のもの」と言う時、「私」は、独り自ら存在する永遠な生命を指します。道、自然、真我、あなたがそれを何と呼ぼうと関係ありません。これはあなたが理解しようがしまいが関係なく、それ自体で存在するのです。

「学ばなければ…」という呪縛から自由になろう

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、現代人は「学ぶ」ことに依存しすぎている面があると言います。「学んでいない」というのを口実にして、本当に大事な問題解決を先延ばしにしているのです。李承憲氏は「『学ばなければできない』という思い込みから自由になる時、自分が本当に願うことを選択でき、創造的な人生を送ることができる」と言います。

現代人は、生活を便利にするために学ばなければならないことがたくさんあります。仕事でパソコンを使いこなさないといけないし、銀行や地下鉄を利用するにも、難しい機械の操作を要求されたりします。だから、私たちは学ぶことに慣れており、学んだ通りにしなければ、不安になります。

しかし、本来、生命維持に必要なのは、息をし、水を飲むなど、学ばなくてもできるような単純なことばかりです。生命と直結している心拍、血圧、体温などは、私たちが気にしなくても勝手に動きます。私たちは生きるためにとても多くのことをしているようですが、実は「生」に最も重要なことは、学ばなくても自ずと実行できるのです。

李承憲氏によると、この自然なさまが創造性の源泉です。学ばなければできないという考えから自由になることが創造的な人生の始まりです。学んで得られる知識は、目的を達成するための判断材料として使うべきものであり、目的自体を選択するために必要なものではありません。学ぶことは選択のために必要なものではなく、選択したことを成し遂げるために必要なのです。

幸せに「条件」はない

幸せのためには、多くの条件を満たさなければならないと人は考えます。「有名大学に行く」「いい会社に就職する」「理想の人と結婚する」…。しかし、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、こうした幸せの前提条件は「観念の中での幸せに過ぎない」と言います。こうした条件が満たされたとしても、幸福が得られるとは限りません。いつまでたっても「私はまだ足りない、何かが欠けている」と思うかもしれません。

李承憲氏によると、多くの人は過去に生き、未来に生き、観念の中に生きています。誰かと話している瞬間さえも、相手を見ずに自分の観念の中に陥っています。その人には現在はなく、幻想だけがあります。未来の甘い夢に酔い、過去の思い出に浸っています。未来と過去に逃げることで、現在を失ってしまいます。「今は幸せではないけど、条件がすべて揃えば、いつかは私も幸せになれるだろう」と思っているのです。

しかし、「今、幸せでない人は、未来も幸せにはなれない」と李承憲氏は言います。未来もまた、その瞬間には現在だからです。現在の大切さを分からない人は、真の幸せを分かりません。刹那、刹那・・・。ひたすら、今この瞬間だけが現実です。過去や未来は幻想に過ぎません。「現在を失ってしまった人生は、死んだも同然の人生」(李承憲氏)なのです。

人生とは、今この瞬間だけに存在するものです。今の幸せが大事です。脳教育で幸せの絶対的な基準を体得することができれば、条件を問わない真の幸せへと近づけるはずです。