「水昇火降」で自分を変える

変化を起こしたいのに、起こせずに悩んでいませんか?自分を変えたいと思っても、その方法が分からずに立ち止まっている人は多いようです。脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、自分を変える重要なポイントとして、「体と脳の疎通」を挙げています。

李承憲氏によると、変化を起こすには「意識」を変える必要があります。それはつまり、「脳」を変えることです。そして、脳の変化は、体を使うことではじめて実現するといいます。

脳は、必ず体を通じて情報を得ます。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚器官を通して情報が脳に入ると、情報に脳が反応し、これによって脳に変化が起こります。脳が変化すれば、これによって体が再び反応します。この繰り返しによって、「意識」がつくられていきます。この体と脳のやり取りがスムーズに行われることで、意識が抜本的に変化しやすくなるのです。

体と脳が円滑に疎通する状態を「水昇火降」(すいしょうかこう)といいます。水昇火降とは、体の腎臓にある水のエネルギーが上にあがり、心臓にある火のエネルギーが下におりる状態です。水のエネルギーが上にあがると、頭がすっきりして澄んだ意識になり、火のエネルギーが下におりてくると、下腹の丹田を温かくして、全身の循環が良くなります。

水昇火降により、体内で火と水の調和が取れると、気力が充実し、体の理想的なコンディションになります。この状態が脳の活性化を引き起こし、ダイナミックな変化を生みやすくします。

脳教育で脳にライトをつける

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、脳教育の大きな目的の一つは、「脳にライトをつけることだ」と言います。

李承憲氏は以前、落馬して大けがをしたことがありました。事故の直後、医者からは「1週間くらいは動いてはいけない」と言われたものの、じっとしていることが苦手な李氏は、寝た状態で胴体を左右に動かして脊椎に微細な振動を与えました。すると、ある瞬間、骨がパキパキと正しい位置に戻るような音がし、事故当日に少し歩くことができたといいます。さらに、脳に「どうすれば動けるのか」と尋ね続けたところ、体が蛇のようにスッと動き、痛みを感じずに体を起こして座ることができたそうです。

李承憲氏はこの経験から、脳には「知識脳」と「体脳」があることを理解したといいます。このうち体脳とは、体についての情報を持っているところです。落馬の大けがからの急回復した体験を通じて、「あらゆる治療は、体脳が働き、体の持つ自然治癒システムが働いてこそ初めて効果が出る。治療とは、体脳の情報処理を助ける行為に過ぎない」(李承憲氏)と悟ったのです。

ネズミは地震が起こる前に逃げるという本能を持っています。また、生まれてから猫を見たこともなくても、ネズミは猫の毛の臭いを嗅ぐだけでも怖がります。人にもそのような能力があります。私たちの「体脳」には、そのような原始情報が眠っているのです。

脳教育とは、体脳を活かす教育です。脳教育で体情報とつながる感覚を育てることで、知識情報に閉じ込められず、体内の原始情報、そして、潜在能力を活用できるようになります。それはまさに、闇の中にある情報にライトを付けるようなものです。

自分にとって望ましい「感情」を創造する

私たちは、自分の感情のせいで本領が発揮できないことが多いです。感情に左右されて正しい判断ができなかったり、必要以上に悩んだり、苦しんだり。感情がコントロールできれば、仕事も勉強ももっと成果を上げられるはずです。脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は脳教育を通じて、「感情の創造」を提唱しています。

私たちの足を引っ張る否定的な感情。そのベースにあるのは、過去の苦い体験です。これまでに生きてきて失敗したことは誰でもあるでしょう。そのときの失敗のキズが心に残り、それが否定的な感情を生んでいるのです。

でも、過去の経験は、古い情報に過ぎません。その古い情報を払い落して新しい生産的な情報を選択すること。これが、李承憲氏の脳哲学が目指すものです。新しい生産的な情報を選択できるようになるということは、脳の主人になることを意味します。記憶には、短期記憶と長期記憶がありますが、長期記憶に関係するのが、扁桃体と海馬です。海馬に肯定的なフィードバックをすることで、ほんとうに必要な情報を長期記憶として貯蔵できるようになります。

李承憲氏は「否定的な感情記憶は振り落とし、肯定的な感情状態に自ら転換する」ことが大切だといいます。それによって、感情のコントロールできるばかりでなく、感情を「創造」できるようになります。自分の願う感情を作り上げることができれば、人生の幸福指数は大きくアップします。

一指 李承憲著『脳哲学』より

変わるための選択をしたら、あとは、脳に頼ろう

「変わりたいけど、変われない」というジレンマを抱えていませんか?これまでの人生を抜本的に変えるような変化を自分に起こそうとするとき、やはり、大きなためらいがつきまとうものです。こんなときの対処法について、脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏はキッパリ言います。「あなたの魂に、あなたの胸に尋ねてみてください」

人生を変えようとする決断も、結局は、一つの選択に過ぎません。選択にあたってすべき問いかけは、とてもシンプルです。「自分が本当に願うのは何なのか?」「自分の胸を希望と喜びで溢れさせるものは何なのか?」ということです。

自分の胸に尋ねたうえで、何を選択するかを決断したら、次はその方法について脳に尋ねましょう。李承憲氏によれば、「私たちの脳は、魂の旅のためにあなたに与えられた基本装備」です。出張するときに持っていくノートパソコンのようなもので、もともと性能はとても良いのですが、あれやこれやと情報を詰め込みすぎてまともに動かなくなることがあります。

そんなときは、ウイルスを除去し、停止していたもとのプログラムを復活させ、不要な情報を捨て、使えるものは使いやすく整理しましょう。そうすれば、魂の願いを実現すために、本来の能力を発揮してくれます。

魂の旅がうまく運ぶかどうかは、自分の脳をどれほどうまく活用するのかにかかっています。脳をよく手入れしてうまく活用すれば、自分が選択した道が険しくとも、着実に、そしてより楽に前に進めることができるはずです。

上に被さっている情報は「エゴ」だ

私たちの魂の核となるのは、一つの考え、一つの願いです。これは、一種の「情報」といえます。しかし、脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、この情報の出力や編集を日々繰り返すことで、最初の考えが見えなくなっていきます。新しい情報で覆われ、出発点が分からなくなってしまうのです。

このような状態になると、上に被せられた情報が主人としてふるまい始めます。本質を隠す役割を果たす情報を、李承憲氏は「ニセの私」、または単に「エゴ」と呼びます。ニセの私に支配されると、自分が作りだした情報、さらには、情報が作りだした情報に従って生きるようになります。

あなたがパソコンを操作しているとき、誰かが誤ってスイッチを押してパソコンがシャットダウンしたとしましょう。実際に何かが消えたのでしょうか?パソコンも、その中に入っているソフトも、そのままです。ただ、電気とソフトウェアとハードウェアが交わって作りだした現象が消えたにすぎません。

これと同じように、心と呼ばれるものは、実体ではなく実体が作りだした一時的な現象です。真の心である虚空は、その上に繰り広げられている模様に関係なく永遠ですが、私たちが考えや感情と認識している模様は絶えず変化します。

模様の断片、放っておけば自然に消える一片の模様をわざわざつかんで、それを自分のものだというようになるのです。魂が旅の過程で出会うすべての困難と危機は、この錯覚から始まります。

李承憲氏は「長く苦労したくなければ目的地を忘れてはならない」と言います。目的地を忘れないために、もしも忘れてしまったらまた思い出すために、脳教育や瞑想トレーニングが必要なのです。

生命電子の循環が、私たちに進化をもたらす

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、存在するすべてのものの中に「生命電子」があるといいます。

生命電子の活性度が高い個体は、振動数が多くなり、運動性や創造性が高くなります。一方、生命電子の活性度がとても低いと、私たちから見て生きていない状態となり、無生物に位置づけられます。同じ個体の中でも、生命電子の活性の度合いによって、振動数や運動性、明るさに違いが出るのです。李承憲氏は、これを「意識の明るさ」と呼びます。

生命電子が活性化され、意識がある程度の明るさになった時、ようやく自分が見えはじめます。自分が見えるので恥を知るようになり、周りを意識するようになり、人を配慮するようになり、礼儀をわきまえるようになります。そして、自分が見えるので自分が誰なのか、なぜここに来ているのかを問い始めます。

生命電子の活性度がさらに高まり、臨界点に達すると、抜本的な変化が起きます。これは幼虫が蝶になるのと同じです。これが「進化」の真の意味です。

では、どうすれば、生命電子を活性化できるのでしょうか?
李承憲氏によると、生命電子の活性化と進化は、「魂」の誕生から始まります。魂とは、核を中心として生命電子が一つに集まったものです。

魂の核となるのは、一点に集中した考えです。たとえば「自己実現」「健康」「幸福」「平和」などに対する強い欲求です。これらの願いが種となって生命電子が一つのかたまりになり、魂が作られます。そして、願いが実現するまで、生命電子は旅を続けます。願いが叶えば、生命電子は散って元の姿に戻ります。この一連の循環が盛んに繰り返されるとき、生命電子は最も活性化した状態になるのです。

生きながら天を体験するところが脳

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、脳と精神についてよく質問を受けるそうです。たとえば、「脳は物質で、脳で起こる現象は精神作用です。死ぬと脳は腐って無くなりますが、精神はどうなるのですか?」といった質問です。

精神は様々な名前で呼ばれます。「考え」「感情」「心」「意識」「魂」…。李承憲氏は、これらが肉体の死後に天に行くとしたら、その天というものは物質なのかを考えてみる必要があると言います。

脳からすれば、宇宙万物はすべて電気信号に過ぎません。すべての情報が電気信号として脳に入り、その情報に脳が反応し、また別の情報を作りだします。そして、情報は波長になると際限なく拡散します。このため、精神というのは、波長で存在します。李承憲氏は「物質である脳がなくなっても、精神の波長は拡散を繰り返す。永遠不滅だ」と言います。

私たちが関心を持つべきなのは、永生や天国への探求ではなく、物質を好循環させることです。そして、良い情報を流通させることです。死後にどこに行くのかという問題ではなく、生きて踏みしめている地球の環境と人類の精神の健康が問題なのです。これに関心を持ち、これを保護、回復、向上させることが、幸せな永生のために必要な努力です。

李承憲氏は「死ねば精神がどうなるのかという問題は、生きて精神を正しく使えば、その延長線上で解決できます。生きながら天を体験するところが脳です。脳が天の活動舞台なわけです」(著書『脳がわかると人生が見える』)と話しています。

存在の「三元」としての生命電子

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、すべての存在には、3つの根元があります。「三元」と呼ばれるものです。

三元の1つ目は、「無・空」です。これはすべての存在の源であり、背景となります。2つ目は、「生命電子」です。生命電子は、無・空の上を動き、あらゆる模様を描き出します。そして、3つ目として、情報を出力するための「質料」があります。

世の中の様々な現象は、この3つが交わってつくられるといいます。世界、そして宇宙も、生命電子が無の海の上を動いてすべての模様を作り、その模様が質料によって出力されたものです。

李承憲氏によると、すべての情報は、生命電子の流れによって生まれます。DNAの情報によってタンパク質が合成され、そのタンパク質が集まり分化して体を作るように、生命電子が作り出した情報を設計図としてエネルギーが集まり、物質が組織化して現象が作り出されるのです。私たちが見ている世界は、そのようなすべての現象が集まってできたものです。

生命電子が作り出す模様を私たちが世界として認識できるのは、その後ろに無という背景があるからです。生命電子の動きによって無が現われ、有が生じ、無を背景として有が現れます。

いわゆる「真理」とは、生命電子の運動によって無と有が分かれる過程のことです。生命電子の運動は私たちの心に痕跡を残しますが、実際に私たちが認識できるものは、その痕跡のごく一部にすぎません。私たちに認識できたものは言語化されますが、それは、真理のごく一部でしかないということです。

幸せとは、「選択」の結果である

「あなたはどんな人生を望んでいますか」という質問に誰もが「幸せな人生を送りたい」と答えることでしょう。しかし、脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、「幸せであるためにどうするかについては、考えない人が意外と多い」と言います。

幸せになるのに必要な条件を決め、それらが満たされると幸せになれると信じて生きる。そして、条件が満たされない状態が続くと、不幸だと感じる――。そんなパターンに陥りがちな現代人に対して、李承憲氏はこう問いかけます。「ただ幸せならいけませんか? 理由もなく笑えるように、幸せの条件に関係なく幸せではいられないのでしょうか?」

この問いを脳に尋ねれば「もちろん可能だ」と答えることでしょう。幸せとは脳が感じることなので、脳が幸せだと感じさえすれば、有無を言わさず幸せだからです。脳が幸せだと感じるためには、「選択」する習慣をつけることが大事だと、李承憲氏は言います。

幸せは、幸せを選択する習慣を通じて獲得できます。善と悪、肯定と否定、幸と不幸は、常に共存しています。どちらも絶対的ではありません。選択であるだけです。「今は大変だけど、1年後にはうまくいく。その頃には幸せだろう。だったら、幸せを前借りして今から幸せになるよ」という考え方を選択できれば、脳はその時点で幸せを感じられます。

李承憲氏は、「健康、幸せ、平和な人生にするためのすべての問いと答えが脳にある」と指摘します。選択をすれば、その答えを脳からうまく引き出し、正しく行動することができるのです。

悟りを導く脳の再編と統合

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、世界各地の人たちから悟りについて尋ねられます。「悟りとは何?」「悟るにはどうすればいいのか?」といった質問に対して、李承憲氏は逆にこう尋ねるといいます。「何のために悟ろうとされているのですか?」

李承憲氏によると、「何のためか?」という質問に答えられてこそ、悟りについて語り合う意味があります。何かを買うにもそれが自分に必要なのかをまず判断しなければならないのと同じです。「物欲や支配欲、名誉欲などのエゴを満たしたいのであれば、悟りは何の役にも立たない」と李承憲氏は言います。

悟りの目的は、ずばり、世界をより健康・幸せ・平和にすることです。健康・幸せ・平和を叶えようという願いは、すべての人の脳に基本的に入力されています。だから、誰でも悟ることができます。

李承憲氏も、悟るために死の危険を冒して修行をした時期がありました。そんな修行中のある日、とても強い覚醒状態で多次元の世界を経験したといいます。距離、速度、大きさの概念のあてはまらない新たな次元が限りなく寄せる波のように押し寄せてきて、脳が統合され、脳に感覚的、物理的な変化が起こったのです。悟りの体験です。

悟りを導く脳の「再編」の動きは、一つの問いかけから始まると李承憲氏は言います。その問いかけは、「私は誰なのか?」です。この問いかけこそが、脳を動かします。大事なことは、問いかけるのを止めないことです。そうすれば脳は否応なく方法を探し続け、最終的に統合する方法を自ら選択するようになります。