「永遠に存在する生命」への気づき~李承憲氏の脳教育

脳教育者の一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は「私たちの魂は、母なる地球の魂と交流するとき目覚める」と言います。「地球の魂との交流」とは、地球の哀痛の心を自らの胸で感じることです。そして、母なる地球の愛に気づくことです。さらに、一歩進んで、その気づきを多くの人びとに伝えることが、魂の完成へとつながります。

李承憲氏によると、地球の愛の存在を感じるのに多大な時間と努力はいりません。「自分と地球が一つである」ことを知り、地球を通じてみんなが一つであることを知ること。それが基本です。それによって、愛と平和のために生きていこうとする気持ちが確立し、心の安定と平和を得ることができます。脳教育の目的もそこにあります。

地球との一体感から生まれるもう一つの気づきは、「自分は、はじまりも終わりもない永遠の生命」だという意識です。これこそが、一番大切な気づきだと、李承憲氏の脳教育では位置付けられています。

「私たちの胸の奥底には燃え盛る炎がある」と、李承憲氏は言います。いつ、どこからはじまったかは知れないけれど、いつも燃え盛っていて、どんなに汚そうにも汚せない炎です。その炎とは、すなわち「時間と空間が存在する前から、自然なるまま独りでに永遠に存在する生命」です。

脳教育のプログラムでは、その「永遠に存在する生命」にフォーカスをあてます。李承憲氏によると、その生命の存在に気づくことが、魂の完成です。

李承憲氏の脳教育のゴールは、「弘益精神」にもとづく平和社会の実現

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育のゴールは、平和な人類共同体を創ることにあります。

人間は「私は誰なのか」「なぜ生きるのか」と自ら問う存在です。他の動物のように、「生存するために生きる」というだけでは物足りない。「精神的な価値」を追求しようとする高度な生き物です。

人間の中で、生きる理由を求める臓器は、脳です。脳こそが、生きる理由を探し、生きる目標を定め、そしてその目標を達成するために努力する役割を担っています。つまり、脳をいかに使うかによって、人生の質が決まるのです。

どんな人でも、幸せになりたいと考えています。しかし、それがなかなか実現できません。李承憲氏によると、その理由は、一人ひとりが自分の脳をうまく活用できていないからです。ネガティブな感情や欲求、利己心などにとらわれ、脳が本来持っている力が発揮できないでいるのです。

李承憲氏の脳教育は、脳の本当の力を引き出すことで、人生の質を高めることを目指しています。脳を目覚めさせ、活性化することで、体と精神を健康な状態へと導きます。そのうえで「弘益精神」を育んでいきます。

弘益精神とは、利己心にとらわれず、全体のために愛他的行動をとる能力です。李承憲氏は、私たちの脳には、もともとこの弘益精神が備わっていると言います。一人ひとりが弘益精神を自覚すれば、人類平和が訪れます。脳教育は、そのための実践活動です。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著 『脳教育原論』より

答えは自分の内面世界にある~李承憲氏の「セドナ=仲介役」論

世界的なパワースポットとして知られる米国セドナ。セドナに来ると、その大自然やネイティブ・アメリカンの魂が、様々な“気づき”を与えてくれると考えられています。しかし、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は著書『セドナ・メッセージ』で、セドナで得られるメッセージはセドナから発せられるのでなく、「自分自身」にすでにあるものだといいます。つまり、もともと自分の中にある「内面世界」が自らに話しかけているだけであって、「セドナは仲介役にすぎない」のです。

そもそも、私たちは、自分自身のことを誰よりもよく知っているはずです。だから、自分が何を一番望んでいるかも、よく分かっています。ところが、李承憲氏によると、私たちはその「本当の望み」を見て見ぬふりをする傾向があります。本当の願望を認めてしまうと、その実現に向けて行動に移さなければならないからです。

このため、本当の夢や願望にフタをして、他の人たちが歩いていく安全な道、無難な人生を真似して生きるようになります。そして、「それを幸福だと勘違いし、その中で安定を求める」(『セドナ・メッセージ』)のです。

しかし、それでは本当の幸福を得ることはできないと、李承憲氏は指摘します。自分を取り囲んでいる壁を壊し、真の自分を見つめる。そのとき、「すべての真実が姿を顕し、私たちに話しかけてくる。その内面の声を聞き、従うとき、私たちはようやく自分の道を進んでいける」のです。

李承憲氏のセドナの活動拠点「マゴガーデン」とは

米アリゾナ州セドナで、脳教育プログラムの開発・指導を行っている一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏。その活動の拠点となっているのが、「マゴガーデン」です。

もともと、マゴガーデンのある土地は、李承憲氏が韓国からセドナに移住して間もない1997年、李承憲氏が設立した非営利団体によって取得されました。李承憲氏の著書『セドナ・メッセージ』によると、土地を取得した当時は、一帯はたいへん荒廃していました。それを、李承憲氏がボランティア活動の仲間たちとともに年月をかけて補修・整備し、自然があふれる「地球の気持ちが感じ取れる」場所になりました。

李承憲氏によると、マゴガーデンをつくった目的は、世界中の人が脳教育プログラムを学ぶための拠点づくりです。人種や国家、宗教が異なる人がマゴガーデンを訪れ、瞑想し、心を開いて一つになる。そして、それぞれの暮らしの場に戻った後も、脳教育を実践し、自分やまわりの人びとの暮らしを美しく織りなしていく。そのための「魂を目覚めさせる場所」として、マゴガーデンがつくられました。

セドナの強烈な太陽と赤い大地からのヒーリング・エネルギーに水のエネルギーと木のエネルギーを加えるため、マゴガーデン内に湖がある花と木の豊かな庭園が造成されました。庭園の整備は、「無から有を創造する過程の連続だった」と李承憲氏は振り返ります。

湖がつくられると自然に近隣の野生動物たちが訪れるようになりました。マゴガーデンは「自然との調和」が強く意識されており、「人間だけがヒーリングをするのではなく、ここでともに暮らすあらゆる生命体をもヒーリングする」との李承憲氏の考えが貫かれています。

李承憲氏が注目するセドナの瞑想スポット「シャーマン洞窟」

世界最大級のパワースポットとして知られる米国アリゾナ州セドナ。その一角に、「シャーマン洞窟」(シャーマンズ・ケーブ)と呼ばれるスポットがあります。観光客にはあまり知られていない場所ですが、セドナ在住の一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、著書『セドナ・メッセージ』で、スピリチュアルな瞑想スポットの一つとして、シャーマン洞窟を紹介しています。

『セドナ・メッセージ』によると、シャーマン洞窟はかつて、ネイティブ・アメリカンの修行の場だったといいます。ネイティブ・アメリカンの部族を率いる「シャーマン」(祭司長)に推挙された人は、この洞窟で数日間修行をしました。この修行を無事にこなした人が、晴れてシャーマンになれたのです。

李承憲氏によると、シャーマン洞窟は満月の日になると神聖なエネルギーでいっぱいになるといいます。「漆黒の闇に輝く星明かり、そして月光、遠くから聞こえるコヨーテの鳴き声、行き来する人びとの息吹、これらすべてを一つに織りなす」(『セドナ・メッセージ』)といい、セドナの大自然と神聖さが満喫できます。

李承憲氏はここを小人数のグループで訪れ、瞑想をします。すると、空と山の交わる部分で立ち昇るエネルギーを見ることができ、エネルギーの帯がオーラのように山をとり囲んでいる様子も見られるといいます。「この世のあらゆる生命が一つにつながっていることを全身で感じられる瞬間」を味わうことができる場所。それが、シャーマン洞窟です。

ライフ・パーティクルの活用が、平和を実現する~李承憲氏の脳哲学

脳科学の理論に基づいて脳の活用を図る「脳哲学」。その第一人者である一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳哲学論の核心の一つといえるのが、「ライフ・パーティクル(生命電子)」です。

李承憲氏によると、ライフ・パーティクルとは物質の最小単位であり、万物の根源です。東洋医学などの世界では、長らく「気」として説明されてきました。

気エネルギーは、数千年前から様々な形でその重要性が伝えられてきました。東洋医学でも、気の流れを整えることが、健康につながるとされています。西洋近代科学では、気の存在を立証することは難しいとされてきましたが、量子物理学や脳科学の発達により、気などの目に見えない“意識の力”が、物質を変えうることが分かってきました。

この流れのなかで生まれたのが、「心気血精」(しんきけっせい)の理論です。心気血精とは、心の行くところに気が集まり、気が集まれば生命力(血)が動き、血が生き生きと動けば目に見える物質的な現象(精)が現れるという考え方です。

李承憲氏が提唱する「ライフ・パーティクル」は、心気血精を実践するためのカギとなる存在であり、気エネルギーの源とも言えるものです。李承憲氏によると、ライフ・パーティクルは誰もが意識の力によって動かすことができます。ライフ・パーティクルの存在を意識し、働きかけることによって、より簡単に脳哲学を実践することができます。

「万物と通じようとする崇高な心でライフ・パーティクルを活用するとき、その愛の波長が世の中を変える」と李承憲氏は言います。ライフ・パーティクルを通じて、世界の人たちの心が通じ合えば、真の平和も訪れるのです。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『脳哲学』より

自分の成長の邪魔になる感情や記憶を手放すには

私たちが執着するのは過去の影にすぎない。しかし、それが過去の影であることを認識できないまましがみつくかぎり、永遠の現在となり、私たちに付きまとう。

たとえば、古傷があるとしよう。傷は癒えても大小の傷跡を残す。今は完治して傷跡が残るばかりの傷を眺めつつ、依然として自分を患者だと勘違いする人であれば、決別したはずの病気も再発し、治ったはずの傷も悪化するものだ。

どうしたら否定的な感情や記憶から逃れられるか。まず自らに冷静に問わねばならない。自分は、本当にそれを克服したいのか? ためらわずに「そうだ」と答えられるなら執着から抜けだせるだろう。自分は自らの感情や記憶の主なのだ。だから何の未練もなく、もう手放すんだという固い意志を発揮し、その意志を守ればよいのである。

ところが、大勢の人に教えつつ知った事実の一つは、このような道理を簡単に感じ取れない人が思いのほか多いことだった。感情を自分から引き離して客観的に眺められない人が多いのである。ゆえに私は、感情や記憶を目に見える形で形象化したり、想像力を利用して浄化する瞑想法を教えている。この瞑想をするのにグランド・キャニオンほどよい場所はない。ここの大地はあらかじめ人の心を半開きにしてくれるからだ。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『セドナ・メッセージ』より

太古から人類の脳が求めていたもの~ライフ・パーティクル

「ライフ・パーティクル」とは宇宙を構成する最も基本的な粒子であり、情報と生命を伝達する最小単位の粒子であると私は考える。これは瞑想を通じて得た私の洞察と直観よりもたらされたコンセプトである。だから、科学的に立証する方法はないものの、いつの日か、未来科学が同じ発見に到達することを望むとともに、そうなると信じている。

ライフ・パーティクルは、限りなく多様な周波数で振動し、多様に集まっては散らばる数多の生命現象をつくり出す。ライフ・パーティクルは、可視的な物質世界から不可視的な精神世界に至るまでの全宇宙を埋め尽くしていて、時間と空間に制約されず、どこへでも、いつでも自由に移動できる。

ライフ・パーティクルは、視覚的には明るくひかる光の微粒子や光の粉として表現しうる。ベルロックの水晶宮での体験がまさに、私の身体が完全に消えてライフ・パーティクルそのものとなり、無限なる宇宙のエネルギーと一体化する体験であった。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『セドナ・メッセージ』より

歴史と自然が豊かな「光の都市」~セドナ

世界のどの国、どの民族であれ、彼らの聖地とする霊験あらたかな山や神秘的な場所があるものだ。そのような場所には並大抵ではないエネルギーに惹きつけられて多くの人が集まってくる。セドナも、まさにそうして場所の一つだった。私はインド、チベット、エジプト、南米、ヨーロッパなど、世界中の有名な聖地をあまねく旅したが、セドナほど心惹かれる場所には出会えなかった。すでに15年もの間、多くの時間をセドナで過ごしているが、毎日目にするここの赤岩と夕陽はいつも新しい感動をもたらす。

セドナはアメリカ西部の砂漠地帯であるアリゾナ州の中心に位置する小都市だ。壮大な峡谷で有名なグランド・キャニオンから車で約2時間の距離にあり、アリゾナ州の州都であるフェニックスからは北へ200キロメートルあまり離れた場所に位置している。壮大な赤岩が散在しているので、よく「赤岩の地方」と呼ばれる。

セドナは砂漠地帯にあるので暑い夏のような気候と思われがちだが、ここにも美しい四季がある。春には乾燥した野原に野の花が群落をなして咲きほころび、秋にはオーククリーク・キャニオンに沿って黄金色や朱色の紅葉が見られる。セドナの冬もまた美しい。赤岩の上に白い雪がこんもりと降り積もる様子も壮観だが、雪が降りやんで太陽が射すと、赤岩の上の真っ白な雪と緑のサボテン、そして青い空が調和し、まばゆい光をまき散らす。その光景を見ていると、なぜ人びとがセドナを光の都市というのかがわかり、自然と頷いてしまう。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『セドナ・メッセージ』より

地球に役立つ情報で脳を満たそう!~李承憲氏の脳教育

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育は、それぞれの個々人が、宗教や民族など特定の集団に脳を支配されることなく、自らの脳の「主」としてふるまうことを目指しています。

私たちの脳は、だれかに支配されるべきものではないというのが、李承憲氏の考えです。一人一人の脳は、その人のものです。しかし、現実の社会では、大半の人が多少なりとも特定の集団に脳を支配されています。その集団の代表的なものが、宗教、民族、国家です。これらの組織は、常に私たちに特定の考えを押し付け、脳を支配しようとします。

特定の考えに支配されると、脳の「主」としての地位が奪われます。そうなれば、もはや自分の脳とは言えなくなります。支配されない脳でいるためには、脳に入ってくる情報の価値判断をする力が必要です。脳にインプットされる情報が有益かどうか、平和に役立つのかどうか、その判断基準となるのが、「地球」です。脳に情報が入ってきたら、その情報が「地球をより良い場所にするのに役立つか」という尺度で取捨選択すべきだと、李承憲氏は言います。

李承憲氏は、平和的な情報をたくさん持っている脳を「パワー・ブレイン」と呼び、破壊的な情報をたくさん持っている脳を「ダーク・ブレイン」と呼んでいます。破壊的な情報を平和的な情報に差し替えてダーク・ブレインをパワー・ブレインに換える方法が脳教育です。

脳教育とは、脳に入ってくる情報を「選別」し、「処理」することを学ぶトレーニングです。自分にとって有用な情報を見極めるだけでなく、有益でない情報を浄化して、健康で平和的な情報に差し替える。その力を脳教育で養うことができます。

一指 李承憲著『セドナの夢』より