「調和と愛」こそが、真の欲求だ

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人間を突き動かす行動原理として、3つの欲求をあげています。それは、「安定・安心を求める欲求」「人に認めてもらいたいという欲求」「他の人を思ったように動かしたいという欲求」です。多くの人の行動の大半は、この3つの欲求を満たすために行われていることが多いといいます。

しかし、実はこの3つの欲求よりも人間的な欲求があると、李承憲氏は言います。それは、「調和と愛に根をおろし、あらゆるものと一つにつながりたい」という欲求です。李承憲氏著『悟りの哲学』によると、その欲求は、私たちを一番人間らしく、また「神聖な存在」に導いてくれるものです。そもそも、私たちがこの世に生命を受けた理由は、この欲求を実現するためだと李承憲氏は言います。

「あらゆるものと一つになりたい」という欲求は、魂の深いところから湧き出ており、本能よりももっと深いところに隠されています。あらゆるものから解放され、ただ愛されているという感覚が、どれほど素晴らしいか考えたことがありますか。もしあるのなら、それは私たちの魂が、私たちには何が大事なのかを気づかせるために送ってくる合図です。私たちの人生には、熾烈な競争をして生き残るために争うことより、もっと素晴らしく美しいことがあるのです。

李承憲氏は、調和と愛の尊さに気づき、目覚めることは、すなわち「悟り」だといいます。そして、悟ることだけがこの魂の欲求を満足させる道なのです。

「人間愛・地球愛」こそが、ビジョンの基盤

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育では、「ビジョン」の大切さが強調されています。ビジョンとは「私たちの意識を覚醒させる灯」です。「ビジョンを設け、そのビジョンを実践することによって私たちの内部に気づきの光、生命の光が輝きだします」(李承憲氏の著書『セドナの夢』)

李承憲氏によると、ビジョンの中でも最高のものが、「人間愛・地球愛」です。それは悟った人が持ちうる唯一のビジョンです。どんな職業に就き、どんな立場から、どんな言葉で自分のビジョンを表現しようとも、「人間愛・地球愛」こそが、すべてに勝るのです。

人間愛・地球愛をビジョンとして掲げることは、困難をともなうこともあります。だから、人は気づきを避けようとします。怠惰や利己心で自分の気づきに蓋をしようとするのです。もともと悟りは自分の中にありますが、それを用いるか、そうでないかの違いでしかありません。

ビジョンを放棄すると、悲しみ、寂しさ、恐れ、怒り、憂欝さなどの感情が私たちの魂を侵すようになります。感情は、覚醒した人にも覚醒できていない人にも、同じように現れます。

重要なのは、感情をコントロールできるか、できないかです。車を運転する際、障害物は必ずありますが、その障害物をうまく避けて運転すれば、何の問題もありません。障害物がないことを願うのは間違っています。

悟りを得た瞬間、高速道路のように気持ちのいい道が続いて自分の前を走る車が1台もないことを望みますか? それは幻想にすぎません。感情を上手にコントロールできれば、感情に振り回されない創造的な日々を送ることができます。進んで自分の中に気づきのあることを認め、その気づきを使うことが大事なのです。

悟りとは、心の扉が開かれていること

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は著書『セドナの夢』で、悟りとは簡単に言えば「開かれていること」だと説明しています。

「心の扉を開いてほかの人びとと相通じれば、それが悟りだ」と李承憲氏。心の扉は、だれでも、いつでも開けることができるようになっており、扉を開ければ、光が差しこんできて、内側と外側が相通じるようになります。

心の扉を閉じてしまうと、「自分」と「他人」が分かれてしまい、怨みを他人のせいにし、自分自身のことを正確に捉えられなくなると、李承憲氏は言います。しかし、扉が開かれていれば、問題の原因を、まずは自分の中から探しはじめます。

心の扉が開かれれば、対話と妥協によって問題を解決していけます。開かれれば、自分も相手も他人ではなく一つになるからです。一つになった状態では、相手に苦痛を与えると自分も苦痛を感じるので、人をむやみに傷つけたりすることができません。

悟った人とは特別な人ではありません。開かれている人なのです。

李承憲氏が振り返る「地球とのはじめての出会い」

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、ほんとうの幸福を得るためには「つながり」が大切だと強調します。「あなたの魂と私の魂、人類の魂と地球の魂は一つにつながっている」とし、「そのつながりを自覚する瞬間、私たちの魂は完全となり、驚くほど拡張する」と言います。

李承憲氏の言う「つながり」とは、人と人とのつながりだけでなく、地球とのつながりも含むことが大事なポイントです。地球とつながることができれば、私たちは地球からのメッセージを受け取ることができ、自分自身のエネルギーの飛躍へとつながります。著書『セドナの夢』で、李承憲氏は自分自身が初めて地球とつながったときのことを以下のように回顧しています。

大きな感動の中で地球に出会ったときのことを私は覚えています。私は切に望み、出会いを果たしました。そして地球との出会いを通じて私の人生は変わりました。地球の魂に出会う前の私の魂は寂しさと不安、恐れの中にいました。自分自身のことも尊重してはいませんでした。尊重するとはどういうことかさえも、ろくにわかりませんでした。

どうして花が美しいのか、生命が美しいのかと尋ねていました。しかし、地球の魂に出会ったことで自分自身を取り戻し、自分の根源を知りました。そのとき私の魂は「どの花も美しい!」と叫んでいました。

地球を感じたとき、そして、地球と対話することができたとき、私たちの意識は大きく変わります。自分のつまらない「利己」を捨て、奥底に眠っていた「ほんとうの願い」に出会うことができるはずです。

疎通が生む幸せと平和~李承憲氏の脳哲学

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、脳の細胞(神経細胞)は一つ一つが離れています。このため、外部からの情報や刺激が脳に入ってくると、離れている細胞の隙間を一時的につなぐ「シナプス」が生まれます。シナプスで隙間が埋まることで、情報がスムーズに伝えられるようになります。

こうした脳のネットワークには、様々なつながり方があります。脳細胞同士はたいへん複雑につながっており、その太さも多様です。李承憲氏によると、最も強いネットワークは「習慣」です。同じ情報が続けて入って来ると、その情報を処理する神経回路が強化されていき、習慣として定着します。ちゃんと舗装されている道路では車がスピードを上げられるように、神経回路が一度作られると、これを利用して情報がすばやく処理されます。だから、一度習慣になると、変えるのは難しくなります。

李承憲氏は著書『脳哲学』で、何事もつながることで「疎通」ができ、それによって大きな価値が生まれると指摘しています。神経細胞が情報を伝えるためにつながるように、すべてのつながりの目的は疎通です。疎通がうまくできれば、あらゆるものがイキイキします。疎通できなければ争い、病気になって、死んでいきます。

李承憲氏によると、私たちは体と脳がうまく疎通すれば健康になれます。そして、自分以外の人とうまく疎通できれば、幸せを感じることができます。同じように、宗教と宗教、思想と思想、国家と国家が互いに疎通すれば、世の中は平和になります。すべてのキーワードは「疎通」なのです。

脳の力をカタチに変えるのが、心の「自信」だ

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、脳が私たちのエンジンだとすれば、変速機(ギア)にあたるのが、「自信」だと言います。変速機は、エンジンの回転力を速度に変えてタイヤに伝える装置ですが、自信も同じ役目を持っています。脳と体の間に入って、脳の力を体に伝えるのが、自信だからです。

李承憲氏によると、私たちの脳は考えるだけで、それを実行に移せるわけではありません。それを「力」にするには、「自信」の助けが必要です。自信があれば、考えはすぐさま体の外へ表現されます。自信が強ければ強いほど、速度が早くなって実行力が高くなります。車のエンジンがいかに最高級仕様であっても、変速機が故障すれば前に進むことができないのと同じです。

自信がないと、実行に移せない考えばかりがたまっていくことになり、脳のネットワークが停滞します。自信を喪失した人は、判断や実行を保留したまま、消極的に状況を眺める傍観者でい続けてしまうのです。

李承憲氏の『脳教育原論』によると、自信があれば、脳は危険要素を鑑みず、積極的に反応します。土や鉄を飲んでも消化できる人は、脳がそれらを「食べ物」だと固く信じているため、脳の指示で土や鉄を消化できるほどの消化液が分泌されるのです。

自信をつけるには他人に褒めてもらうのがいいと考えられていますが、必ずしもその必要はありません。自分で自分を信じればいいのです。脳教育は自分を感じる感覚、自分に集中する感覚を目覚めさせることで、真の自信を育てていきます。

人生における「成功」と「完成」~李承憲氏が唱える“絶対的な価値”とは

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人生における「完成」こそが、私たちが目指すべきゴールだといいます。「成功は、ほかの人と比較する相対的な評価だが、完成は、自身の良心を基準とした絶対的な評価だ」と李承憲氏。「完成」のための脳教育の必要性を唱えています。

李承憲氏によると、「成功」と「完成」には明らかな違いがあります。成功とは、他人との競争の結果、富と名誉を積みあげることです。これに対して、完成は、自らの人生の目的を知り、その目的に忠実な人生を送ることです。

ランニングに例えれば、成功は先着順を争うレースであるのに対して、完成は参加者それぞれに優勝カップが用意されています。他の人と競争しながら突き進むのでなく、互いに助け合いながら進むのが、完成への道なのです。

私たちが存在する宇宙にとって、<自分の完成>と<全体の完成>は同じだと李承憲氏は指摘します。そのことを悟った人は、「全体的な生命にとって有益な生き方を選択するようになる」といいます。そして、「完成への渇望と意志を内側に秘めているからこそ、私たちは絶えず変化でき、自らを再創造できる」(李承憲氏)のです。

世界的なベストセラー著書『セドナ・メッセージ』で、李承憲氏は「私たちには内面の完全性があり、また、その完全性に辿り着こうとする意志がある」と記しています。だから、人間は偉大であり、いつでもいっそう偉大になれるのです。

「PDCA」の実践が人生を成功へと導く~李承憲氏

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、成功するためには、「PDCA」と呼ばれる行動のサイクルを実践することが大切だと言います。PDCAとは、「Plan, Do, Check, Action」のことです。目標を立て、実行にするまでの一連のプロセスとして、ビジネスの世界でも重視されています。

PDCAの第一歩は、目標を決めることです。すなわち、Plan(正確な目標)の策定です。「体重を5キロ落とす」、「1日の成果を2倍に増やす」などの目標こそが、成功するうえで最大の武器になります。

次に、目標という武器を管理し、使うための戦略(Do)が求められます。戦略を作ることにより、武器をよりうまく活用することができます。

次のプロセスがチェック(Check)です。多くの組織や人々が目標を達成できない理由の一つは、PlanとDoを繰り返すだけでCheckをないがしろにするからです。自分だけでなく、複数の人にチェックしてもらえば、なおさら効果的です。

そして、最後がアクションです。あなたに夢があるなら、夢には常に影があります。その影とは「障害」です。大きな夢であるほど、障害も大きいはずです。それを乗り切る行為が、アクションです。

李承憲氏は「自分にやってくる多くの逆境を避けず、甘んじて受け入れる人には未来があるが、避ける人には未来がない」と言います。つまり、自分の人生を本当に大事に思っているのか、そうでないのかは結局、あなた自身の選択にかかっているのです。

目標を掲げ、脳の変化を引き寄せる~李承憲氏

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、脳には「変化しにくい」という特性と、「変化しやすい」という特性の両面があるといいます。その二面性をしっかりと認識したうえで、脳に大きな変化を起こすべきです。

私たちの脳は絶え間なく変化しています。外部から新しい刺激を受けると、それに対応する脳回路がつくられます。

その一方で、いったん脳回路が作られると、それ以降、同じような刺激が外部から入って来たときは、同じ回路が処理を行います。これが繰り返されるごとに、その回路は強くなり、やがて習慣となります。習慣化することで、脳は効率よく情報を処理します。

習慣として作動するようになった脳回路は幅をきかせるようになります。自分で何かを「変えるべきだ」と考えても、脳はそれを誤った信号として受け止め、同じ脳回路を使おうとします。そのほうが、脳にとってはラクだからです。これが、多くの人が思うように変化を生むことができない理由です。

しかし、小さな変化でも脳に起こすことができれば、その変化は別の脳回路にも影響を及ぼし、また次の変化を招きよせます。強い意志さえあれば、ドミノ倒しのように脳に変化をもたらすことができるのです。

自分の目標さえしっかりしていれば、脳に変化は起こせるはずです。だから、李承憲氏は「目標を持とう」と訴えます。目標が明確でなければ変化の方向をつかめず、脳はそれまでの習慣に執着しようとします。まずは、はっきりとした目標を掲げることが大切です。

情報の奴隷になるのか、主人になるのか—李承憲氏が問う「選択」

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、人間の体は、肉体、エネルギー体、情報体の3つで成り立っています。この3つの体(body)を連携させ、活性化することで脳を変化させることができます。

3つの体のうちでとくに大事なのは、情報体です。私たちの感情は、情報の変化によって起こるものです。幸福や不幸を感じる気持ちも情報によって引き起こされます。自分の脳にどんな情報を与えるのかによって、心の状態は変わります。

李承憲氏は、人間の価値は、その人の脳にある情報の質と量によって変わると言います。脳にどんな情報があるのか、その情報をどう処理するのかで、考えと行動が決まるからです。

李承憲氏は著書『BOS 脳の中の偉大な革命』の中で、次のようなエピソードを紹介しています。ネイティブアメリカンの部族長がある日、孫にこう尋ねたそうです。「心の中には善いオオカミと悪いオオカミが住んでいて、2匹はいつも互いに戦っている。どっちのオオカミが勝つと思う?」。そして、こう続けました。「自分がエサを与えたオオカミが勝つんだよ」。

自分の中のオオカミに対して、エサを与えるのは自分自身です。自分の中には、肯定的な情報と否定的な情報がいつも混在していますが、どちらを選ぶかによって、生き方が変わります。どちらを選択するかは自分次第。情報の奴隷になるのか、それとも、主人になるのか。その選択こそが、運命を大きく左右するのです。