一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著 『悟りの哲学―「脳呼吸」で人生は変わる』ビジネス社、2006年発行、2ページより引用
私の若い時代は、あらゆる努力を気エネルギーに関する探究と鍛錬に傾けて過ごす日々だった。そしていつの間にか、私は気エネルギーを自由にコントロールする段階にまでなったのである。人々は私の並外れた能力をただ羨ましがり、珍しがった。
しかし、私はすぐに限界を感じた。こうした私の能力は、水泳や歌が上手であるのと同じように、ただ優れた技術と才能に過ぎないことが、あまりにもよく分かったからであった。
どんな哲学書や宗教書を読んでも、生命に関する疑問には答えていない。人知れぬ私の苦悩は、どんどん膨らむばかりだった。
「なぜ生きるのか?私が生きることの意味は何なのか」
人はなぜ生まれてきたのかも知らないまま、ただ命を与えられて生き、時が来ればどこへ行くのかも知らずに死んでしまうのか?それがこの人生のすべてなのか?人々が言うように、人生とはそういうものだと思って生きるしかないのか?この疑問を解く前は、どんな楽しさも私を満足させてくれることはなく、どんなことも全く無意味に感じられた。
目に見えない魂と対話を交わせても、究極的な生命の真理が分かるとは言えない。気を自由自在に放出し、また吸収する能力があるからといって、人生の意味と目的について答えられるわけではない。
その問いかけに答えるには、魂が解放されていることが重要である。誠実で、開いた心でいるべきであり、自分のなかの良心が脈打つ状態であるべきなのである。