~一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『脳がわかると幸せが見える』から要約~
「気づき」によって「脳の主人」になる
人は、気づきを得ることで、自分自身の脳の主人になることができます。
体は脳の延長です。脳から全身に広がる神経網を通じて、体は脳の命令を受けています。心もまた、脳の中で起きる作用です。脳がなければ心もありません。ですから、「脳がすなわち私」といえます。
脳の状態を常に見守り、コントロールする「意識」というものがあります。意識は脳の運転手のようなものです。車を走らせるのに運転手が必要なように、脳を上手に活用するためには、この「意識」が必要です。
意識が目覚めることを「気づき」といいます。気づきを得ると、暗い部屋に電気をつけた時のように目の前がパッと明るくなって、自分自身や自分を取り巻く状況を鮮明に見ることができます。
気づきを得た脳とは、「主人がいる脳」です。主人がいる脳は、感情や外からの情報を能動的に処理することができます。脳が生存本能や習慣に基づいて情報を処理しようとするとき、主人がストップをかけ、別の選択をします。
気づきを得た脳は、利害関係や損得勘定にこだわらない判断ができます。慈悲深い心を持ち、健康で幸せで、世の中を平和にしようとする意志に満たされます。たとえば、沈没寸前の船で、自分のかわりに見知らぬ人を救命ボードに乗せるような行為は、「脳の主(あるじ)」になっているからこそできる判断です。
一方、気づきを得ていない脳は、「主人のない脳」です。主人のいない脳は、感情に振り回され、目先の情報に引きずられやすいです。脳は「良い脳」と「悪い脳」に分かれません。「主人がいる脳」と「主人がいない脳」に区分されるのです。