感情は、人間の生存に欠かせない脳の作用です。恐怖という感情のおかげで、私たちは危険を避けようとします。不安という感情があるから、安全な環境をつくろうとします。怒りという感情によって、悪に立ち向かいます。自分以外の人たちをいたわり、ケアするのは、愛という感情によるものです。
感情をコントロールできず、奴隷のように感情に振り回されているからといって、無条件に自分の感情を抑圧したり、無視するのは望ましくありません。
感情の主になるためには「思いやりを持って正直に自分の感情を認める」ことが大切。感情を観察できる力を育てていけば、自分の感情に過敏に反応せず、淡々と客観的に眺められる力も強くなります。
そして、「感情が私を掴んでいるのではなく、実は私が感情を掴んでいる」という事実を認識します。感情は、空に漂う雲のように行ったり来たりするものだから、執着する必要はなく、めぐる季節の中で、木が育ち、花が咲き、実を結び、葉が落ちるように、人生の喜怒哀楽を淡々と眺めながら進むのです。そうしていくうちに、私たちの人生に対する悟りも根を下ろしていきます。
それはまるでサーフィンと同じです。感情の波に押されてもがくのではなく、感情の波に上手に乗って生きていくのです。上手にサーフィンをするには中心を取ることが大事なように、魂という中心にしっかり根を下ろし、感情を自由自在に活用します。感情を道具にして、魂の成長のために活用していくのです。