脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、いろいろな人たちに「どうすれば悟れますか?」聞かれるといいます。これについて、李承憲氏はこう答えます。「悟りには方法がありません。悟る道というものはないからです」
李承憲氏によると、そもそも私たち自身と悟りの間には、距離がありません。悟りのもたらす「明るい知恵」は、「私たち自身の本来の姿」だからです。つまり、わざわざ探す必要はないのです。
悟りは、近すぎて見えないのです。水の中で泳いでいる魚が、水が水であると分からないのと同じで、私たちにとって悟りは、誰にとってもすでに与えられているものだから、見えにくくなっているのです。
李承憲氏は、そんな悟りの核心を心得て、悟りを実践している人のことを「道人」と呼びます。道人は、正直な人です。自分の中にある完全な知を自分の実体と認めて受け入れる人だからです。
何が正しいのか、どんな風に生きるべきかは、誰もが分かっているのですが、多くの人は責任を負うのがイヤで、その完全な知を自分の実体と認めることを先延ばしにしています。でも、道人はそれを受け入れています。
自分の知を認めず、知を認めてもあがいて何が正しいのかを見ようとはせず、何が正しいのか分かっても正しいことよりラクなことを選ぶ――。それは、現代人が陥りがちなワナです。
まずは「受け入れる」ことが大事です。自分の完全な知を認め、その知をもとに何が正しいのか判断し、自分が正しいと判断したことを選択する。そして、その選択に責任を持つ。それが、道人への道です。