人間は互いに愛し愛されるために生まれてきたとも言われます。「愛」と言えば男女間のロマンチックな愛を思い浮かべがちですが、どんな人間関係にも愛は存在し得ます。親と子、師匠と弟子、友人同士、職場の同僚同士など、あらゆるところに愛は育まれます。
愛のシンボルとして、よく赤いハートが使われます。これは、鼓動する心臓を象徴しています。ほんとうは愛を感じる主な役割をしているのは心臓でなく脳ですが、人は往々にして愛の感情が心臓から出ていると感じているのです。
実際のところ、ロマンチックな愛を感じると心拍数が上昇します。これを生理学的に見ると、脳から分泌される神経伝達物質の影響で交感神経が興奮し、心拍数が増えるという生理反応になります。強烈な感情や情熱によって心拍数が増えると、そんなとき「生きている」という実感が強くなります。
歴史的に見ても、多くの文明において愛という感情は心臓と関係があると思われていました。古代エジプト人は心臓が魂と愛の留まる場所であり、存在と知性の中心だと信じていました。このため、ミイラをつくる過程で胃、肝臓、肺、腸などの臓器はすべて取り除いたのに対し、心臓だけは屍の中に残しました。一方、脳の重要性を知らなかったので、脳はすべてかき出して捨てました。
伝統的な東洋医学でも、心臓は文字通り「心が入っている臓器」と見なされ、心を最もよく表現したものが愛だと考えられていました。
古代インド思想によれば、心臓は7つのチャクラシステムの真ん中に位置する第4チャクラと関連があります。このチャクラは愛や憐れみが溢れ出るところであり、ヒーリングへと向かう扉です。すべての情緒的な経験が起こる場所であり、精神世界における肉体と心、男性性と女性性、ペルソナとシャドウ(表と裏)、エゴとユニティなど、相反するものを統合する役割をします。このチャクラが開いてバランスが取れていると喜びや愛を感じ、このチャクラが閉じてバランスを失っていると悲しみや怒りを経験するとされます。
より壮大な愛、包容力のある愛は、「無条件の愛」です。それは真我から出る自由な魂の愛です。無条件の愛は何の報酬も期待しません。何ものにも縛られず、周りの人、団体、地球、さらには宇宙全体まですべてを抱きます。私たちの意識レベルが高まって心が広がれば広がるほど、このような無限の愛の表現能力も高まります。