変化は自然の根本的な性質です。もし変わらないものが一つあるとすれば、すべては変わるという事実です。仙道ではこれを「無常」と言います。
私たちの苦しみは、永久的ではない物を永久的に所持したいと思う固執の感情からきます。人は、自分の人生だけは、無常の法則の例外になることを望むものです。自分が他者とは別個に存在する固有の実体という考えを捨てるのは容易ではありません。
でも、次のことを考えてみてください。次の二つの文章のどちらが事実でしょうか。
「私は生命を所有している」
「生命が私を所有している」
私たちはまるで自分の生命を所有しているかのように考え、行動しています。
しかし、考えてみてください。
生命は私たち自身が生み出したものでしょうか?
あなたの元にだれかがきて、生まれるための許可や同意を求めたでしょうか?
違いますよね。
あなたはただ、生まれたのです。
生まれた時、生命はそこにあったのです。
終わりはどうでしょうか?
生命は尽きる前に、誰かを送りこんで、あなたの許可や同意を求めるでしょうか?
いいえ、許可や同意どころか、何の知らせも、手がかりも与えてくれることなく、生命は消えます。
あなたの許可も同意もなくやってきて、知らせもなく消えてしまうものを、どうして自分のものと言えるのでしょうか?
生命はあなたが生み出したものではありません。生命があなたを生み出したのです。生命自体の視点からすれば、それはすべて単なる変化であり、「生まれる」こともなければ、「死ぬ」こともありません。
この事実を理解することが、「無常」を受け入れることであり、悟りの本当の始まりになります。